ヨーロッパでは生ハムはローマ時代から保存食として重宝されてきました。塩漬けして乾燥熟成させることで余分な水分を飛ばし、細菌の発生を防ぐことで長期保存を可能にしています。生ハムの「生」は加熱処理をしていないという意味で、非加熱乾燥食肉製品というカテゴリーに分類されています。

生ハムの賞味期限は短いもので90日、長いものだと6ヶ月~2年程度ですがその期間を過ぎたとしてもすぐさま品質に影響を与えることはありません。長期間熟成されている生ハムほど賞味期限も長い傾向にあります。

すでにカットされているスライスパックは常に冷蔵保存をする必要がありますが、生ハムの原木はヨーロッパでは年中常温で保管しています。保存食として発達してきたものですので、多少の温度変化には耐え得るのです。

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生ハムの保存方法

生ハムを保存する際は温度湿度に気をつけなければいけません。特に日本の場合はヨーロッパと比較して湿気が多く、過度な湿度によりカビの発生が増えて品質が低下するスピードを早めてしまいます。

生ハムは保存方法を少し気を付けるだけで、より長く美味しい状態をキープすることができます。今回は生ハムの適切な保存方法をご紹介します。

スライスパックの保存方法

すでにカットされて、真空パックされた生ハムは冷蔵または冷凍で保存してください。メーカーによって冷蔵保存していたり、冷凍保存していたりしていますが、冷凍の場合解凍までにかなりの時間がかかる為、極力冷蔵での保存をおすすめします。

生ハム、特にイベリコ豚の生ハムは脂の部分にナッツ系の旨味が詰まっています。その脂が溶け出した頃が一番おいしいのということが重要です。冷蔵の場合は食べる30分~1時間ほど前には常温にならしておいてください。冷凍の場合は、流水にさらすと解凍までの時間を短縮することができます。その後で同じように常温で置いてください。

一度パックを開封した後は、その日に食べてしまうのが理想的です。ただし、1人暮らしの方などはなかなか一回で食べることはできないと思います。余談ですが、生ハムは製造過程において約35%ほど重量が減少します。生ハム100gの場合でも実際はそれ以上の食べ応えがあります。

一度に食べずに残った場合は、ラップに包んで保管することをお勧めします。空気に触れることで酸化したり乾燥したりするのを防ぐためです。その上でジップロックなどに入れてあげるとより良いです。一度開封した生ハムは1週間以内を目安に食べきってください。

最初から小分けしておく方法もあります。バルやレストランで出て来る生ハムはだいたい1皿20g程度なので、100gのスライスパックを5等分してラップに包みジップロックに入れて冷蔵しておくと良いでしょう。

保存のポイント〜生ハムスライスパック〜
  • 10℃以下で保存すること
    冷蔵庫に入れてください。脂が溶け出すくらいの温度で食べるのが一番良いので、冷凍されているものもありますが時短のため冷蔵保存がおすすめです。
  • 空気に触れないようにすること
    空気に触れると乾燥して固くなったり酸化して風味が劣ってしまいます。サランラップでつつみ、ジップロックに入れて保存してください。

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生ハム原木の保存方法

原木は基本的に常温で保管します。夏場に部屋の中が40℃を超えるような場合は冷蔵庫に入れるのも選択肢の一つですが、ワインと同じで急激な温度変化は生ハムを傷めてしまいます。

生ハムの原木にとって理想的な環境は20℃前後の暗所です。夏場に締め切った場所などで生ハム原木を置いておくことはオススメしません。高温多湿の場所はもちろん、直射日光の当たる所やクーラーなどの風が当たる場所などには置かないでください。

もうひとつ注意したいのが、切り口からの乾燥です。脂で覆われている部分は脂が保護の役割をしていますので乾燥が進むことはありません。しかし一旦カットを始めてると赤身の部分から乾燥していきます。それを防ぐためにカットが終わったら、カットの時に出た余分な脂を表面に被せるか、オリーブオイルをキッチンペーパーなどに染み込ませたもので切り口を覆うようにします。そのうえから軽くラップを置いてあげることで乾燥から生ハムを守ることができます。

時間が経つと原木に白カビが発生する場合がありますが、品質に問題はありません。熟成を促す役目もあり生ハムにとっては欠かせないものですが、どうしても気になる場合はアルコールなどは使わず、濡れたタオルやオリーブオイルを染み込ませたキッチンペーパーで擦るようにしてください。アルコールを使うとカビ菌は死滅しますが、同時に生ハムにとって重要な酵母菌までも殺してしまい、また保護の役割をしている表面の脂もなくなってしまいます。ですので香りの強くないオリーブオイルをキッチンペーパーなどにつけてカビを拭き取るときれいになります。

保存のポイント〜生ハム原木〜
  • 20℃前後の暗所で保存
    直射日光やクーラーの風などが当たる場所は避けてください。冷蔵庫の出し入れなど、温度変化が大きくなるような事は生ハムにダメージになってしまいます。
  • 切り口の保護
    赤身の部分は乾燥が早く進むため、切り口は余分な脂で覆うか、オリーブオイルなどで保護してください。
  • 白カビの発生
    熟成を促す過程で白カビは発生しています。日本は湿気が多いため白カビが発生しやすいですが問題はありません。

まとめ

スライスパックは開封するとどうしてもそこから酸化が始まってしまうので、2~3日中に召し上がることをおすすめします。そのままワインとのマリアージュを楽しんだり、サラダに乗せて上からオリーブオイルをかけたり…。味わい方はたくさんあるので、お気に入りのレシピを見つけてみてください。

私はやっぱりそのまま頂くか、あるいはオリーブオイルをかけて食べるのが一番好きです。生ハムにオリーブオイルをかけるんですか?とよく聞かれますが、全く脂っこくはありません!イベリコ豚の脂もオリーブオイルも、オレイン酸という成分でできているのでさらっとしていて健康に良いのも嬉しいですね。

是非お試しください。

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