日本でも広く知れ渡った存在のイベリコ豚。スペインにのみ生息しているイベリコ豚は、その質の高さから世界一美味しい生ハムと言われています。
イベリコ豚はスペインの原産種であり、まさにスペインが世界に誇る究極の豚です。イベリコ豚は広大な放牧場(デエサと呼ばれる)で放牧されて自由に育ち、ドングリを食べることで健康に良いとされるオレイン酸を体内に蓄えます。このような生態系は、世界中どこを探しても他にはいません。
世界三大ハム
「世界三大ハム」をご存知でしょうか。生ハムの産地としてはイタリアやフランスなどヨーロッパが有名ですが、実は世界中で様々な生ハムが作られています。中でも質の高さ、消費量の多さなどから世界三大ハムとして挙げられるのがこちらです。
プロシュット・ディ・パルマ (イタリア)
金華火腿 (中国)
ハモン・セラーノ (スペイン)
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あれ?イベリコ豚は?
そうなんです、世界三大ハムにはイベリコ豚の生ハム、ハモン・イベリコは登場しないんですね。
ハモン・イベリコは現地スペインでも高級品です。また、ハモン・セラーノよりもハモン・イベリコのほうが圧倒的に人気があります。では、なぜイベリコ豚は三大ハムとは呼ばれないのでしょうか。
”希少すぎる”イベリコ豚
一説にはイベリコ豚の生ハムは希少すぎるからだと言われています。
年間の生産量を見てみると、ハモン・セラーノが4,000万に対してハモン・イベリコはわずか350万本と実に10分の1以下の数量です。イベリコ豚の生ハムはとにかく手間とコストがかかります。本当に質の高いイベリコ豚を育てようとすると、放牧させるための広大な土地と十分に食すことができるドングリが存在する土地が必要となりますが、残念ながらイベリコ豚を飼育する農家がより手間の掛からない白豚へシフトすることで、この土地は近年減少の一途をたどっています。人工的には絶対に不可能な彼らの飼育の難しさ、手間のかかり方は半端ではないのです。
イベリコ豚は高い!というイメージが定着していますが、我々の想像を絶するほど、イベリコ豚を取り巻く環境は厳しく、単なる工業製品ではないのです。
「なぜ高いのか」にはしっかりとした理由があります。そして、「なぜこんなに美味しいのか」にも理由があります。
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