先日、日本経済新聞の記事で地域ブランド品の保護を目的とした制度が広がっているという内容がありました。国がその特産品の品質を保証することで、地域ブランドの悪用を防ぐ制度を「地理的表示(GI)」と言います。
GIは国内の特定の産地で、原料や製法にこだわって作られた農産物などに限って認定されています。有名どころで言いますと、北海道の「夕張メロン」などがこれに該当します。その他、奈良の三輪素麺や兵庫の神戸ビーフなど、現在では14品目が認定されています。
GI制度のメリットは、生産者にとって悩みの種である偽物の流通を国が取り締まりを行うという点。そうすることで生産者はブランド価値を守り続けることができるのです。
海外に目を向けると、実に100カ国以上でGI制度が導入されています。また、TTP(環太平洋経済連携協定)でも、GI制度が採用されています。
生ハムについてもGI制度が存在しています。そのひとつが原産地呼称制度(D.O.)と呼ばれるものがあります。詳しい内容については過去の記事をご覧ください。
【参照:ハモン・イベリコの産地】
国内におけるこの制度の認知度はまだまだ小さいものです。例えばヨーロッパにおいて、価値ある食品は必ず伝統やそれが生産される地域と密接な関係があるからです。
長い時間をかけて培われてきた伝統や高度な技術をもった生産者は、その環境を守りたいという情熱を持っています。
土・水・植物・空気…その土地にしか存在しえない要素が組み合わさって生まれる素晴らしい製品。そのような製品を守っていくためには、時間やコストがかかります。
大量生産、オートメーション化が活発になり、昔ながらの製法にこだわった生産者がどんどん減少していったのです。これはなにもヨーロッパに限った話ではなく、日本国内においても素晴らしい生産者や製品が消えていった事例が多々あります。
「本当に良い物は何か」を追求する生産者を守ることがこの制度の本来の目的なのです。そしてこの制度の活用が広がっていき、私たち消費者が生産者の取り組みに注目していく。
そうすることで継承すべき伝統・素晴らしい製品を残し続けることができるのではないでしょうか。
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